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むざんやな

無惨やな

久生 十蘭

「オール讀物」1956(昭和31)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,601 字 · 16 页

青空文庫

そういって、又内と民部左衛門の死体のある部屋へ連れて行った。

「見ろ、両人とも抜きあわしているだろう。騙し討ちではなかったぞ」

果し合いの次第をくわしく話し、

「委細は、この一通に書きこめておいた。介錯をしたら、これを主水どのにお渡し申せ。後々のことは、親類中と相談して、しかるべく取計らえばよし……では、これまで」

と胸をおしくつろげ、左の脇へ脇差を突き立てた。

作左衛門は後にまわって介錯すると、衣服を着かえて書院へ行った。

「さぞかし、ご退屈なことでありましたろう。手前、主人が申しますには、今夕、本多、犬塚のご両所を打ち果したよしにございます」

主水は自若とした面持で、

「首尾は」

とたずねた。作左衛門はうなずいて、

「ずいぶん、首尾よく」

「よしよし……さらば、匆々に腹を召されるがよからん」

「ぬからず、切腹いたしました」

ふところから蔵人の遺書を出し、

「委細はこの一通に」

といって主水に渡した。

主水は受取って、

「目付衆の立会で拝見することにしよう。あずかっておく」

煙草を二三服喫い、

「火の元、勝手など、見廻りたいが、検視のすまぬうちは、ここを立つわけにはいかぬ。