轻松读懂日语经典作品
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ぶらいはうたず
無頼は討たず
山本 周五郎
「キング」大日本雄弁會講談社 、1936(昭和11)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,446 字 · 23 页
一
一
浅黄色にくっきり晴れた空だ。
春の遅い甲州路も三月という日足は争われず、堤には虎杖が逞しく芽をぬき、農家の裏畑、丘つづきには桃の朱と麦の青が眼に鮮やかだ。笹子川の白い河原を低くかすめ飛ぶ鶺鴒の声も長閑である――。
大月の宿を出た街道は半里ほどすると爪先あがりに笹子峠へ一本道、右に清冽な流れをみながら行くこと三十町で初狩村へ入る、峠にかかる宿のことで茶店が三四軒、名物の力餅や笹子飴を売っている。
「爺さん、良いお日和だの」
「おや、是は珍しい。さあお掛けなさって」
「御免なさいよ」
繭買商人と見える男が、一軒の茶店へずいと入る、主人の老爺は茶を汲みながら、
「毎年八幡屋さんの顔が見えると、もうこれで春もきまったかと思うだが、今年は少し早いようだのう」
「今年はどうやら相場が上値を叩きそうだから、混まぬうちに敷打(養蚕家へ手金を打つこと)をすべえと思ってね、十日ばか早くやって来たのさ……ときに爺さん」
男は声をひそめて、「向うの茶店へだいぶ親分衆の顔が見えているが、何かあったのかね」
「その事でごいすよ」
老爺は茶をすすめながら、「おめえ様も知ってござるべえ、韮崎の貸元で佐貫屋庄兵衛という親分さんがいなすった」