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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

だから、この出し物はだめとなって、初日、二日は、仕方なく、上は洋髪の頭のままで、からだには、紙でつくったかみしもをつけ、博多今小蝶と名乗って、水芸の太夫娘となって客の前に現れた。それでも、なにもしらない客たちは大よろこびで、小屋が割れそうなくらい手をたたいた。

房枝は、うすい板敷の舞台の上で、そっと涙をのんだ。

(ポニーほしい)

と思ったが、それは、どうにも、急場の間にあうはずがなかった。

「じゃあ一つ、空中サーカス道具を手に入れ、ついでに、天井の高い天幕も、借りちまうか、これなら、ごうせいな番組となって、お客は、またうんとふえるにちがいない」

と、楽屋の草原の上に、あぐらをかいている黒川新団長は、ものすごく気前がよかった。

五日目は、徹夜で、大天幕張り、次の日から、見ちがえるような新興ミマツ大曲馬団超満員御礼大興行と、長たらしい名前の旗を出し、「お礼のため、特に料金は二割引」とわけのわからぬ但し書をつけたが、これがまた大当りと来た。一座は、波間に沈んでいく雷洋丸から、命からがらのがれた後のしめっぽい思出なんか、どこかに忘れてしまって、たいへんな張切りぶりを見せた。