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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

このサーカス(曲馬団のこと)は、いつでも、私の手によって爆発します。それが困るなら、今夜十一時に、黒川団長と、花形房枝と、丸ノ内、ネオン・ビルの前に来なさい。警察につげたり、この花籠をうごかすと、すぐ爆発させます。私たちの部下が、いつもちゃんと見ています。バラオバラコ――という文面であった。

「おお、これは、たいへんだ。あーあ、せっかく、こんなに大入満員になって、よろこんでいたのに」

と、黒川は、顔から血の気をなくして、そのばにしりもちをついてしまった。

房枝は、黒川から手紙をとってこれを読みくだしたが、もちろん彼女も、おどろいてしまった。

「やっぱり、そうだったのね。ミマツ曲馬団は、雷洋丸以来、ずっと何者かにねらわれているのね。バラオバラコというのは、何者なんでしょう。――団長さん、どうするつもり?」

黒川は、しばらくは、へんじもしないで呻っていたが、

「いきたかないが、ここはおとなしく相手のいうことをきいて、やっぱり、いってみるしかないだろうね。せっかくの小屋をこわされ、客の入りをじゃまされては、商売あがったりだよ」

といって、同意をもとめるように、房枝のかおを見上げた。