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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
妙なことから、房枝はきゅうに里ごころがついた。
「あのう、ニーナさん。しばらく黒川さんのことを、おねがいしますわ」
「ええ、いいです。しかし、どうかしましたか」
「いいえ、べつにどうもしませんけれど、あたし、ちょっと曲馬団へかえってきますわ。ゆうべから、団長とあたしが団の方へかえってこないので、皆が心配しているでしょうから」
「ああ、そうですか。あのう、それ、もっとあとになさいませ。食事の用意できたころです。一しょに食事して、それからになさい」
「でも、皆が心配しているといけませんから」
「まあ、待ってください。とにかく、食堂へいってみましょう。あたくし、十分ごちそう、用意させました。メキシコから来たよいバタあります。チーズ、おいしいです」
ニーナは、しきりに房枝をとめるのだった。
房枝は、それまで黒川の重傷を心配するあまり、曲馬団の仲間のことを、すっかり忘れていたが、さぞ今ごろは、彼らはさわぎだして、警察へいったりしていることだろう。警察へいっても、房枝たちのいどころがわかるわけがない。房枝は、すぐにかえる決心をした。
ニーナは、屋内へいそぐ房枝の腕をかかえて、しきりに朝食をとっていけとすすめる。