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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

そのうえに、房枝さんをうたがうのはいけません」

ニーナは、妙なことをいいだした。

「なにッ!」

「あたくし、よく知っています。トラ十というあやしい東洋人が、あなたがたの手に捕らえられたはずです」

「えっ、それを知っているのか。どうして」

「そのあやしい東洋人トラ十は、ミマツ曲馬団の爆破が起って間もなく、三丁目の交番を走りぬけるところを、警官にとらえられましたのです」

おどろいた。全くおどろいた。警官たちも、帆村もニーナのことばには、おどろいてしまった。

「ニーナさん。あなたは、なぜそんなことを御存じなんですか。どこから知ったか、こたえてもらいましょう」

「ほほほほ。あたくし、公使館の人から聞きました。日本中のこと、なんでも、すぐわかります」

「えっ、公使館の人? とにかく、向こうへいって、もっとくわしく聞きましょう。さあニーナさんも、向こうへ歩いてください」

「いやです」

ニーナは、首をつよくふった。

「あたくしは、もうかえります」

「いや、かえることはなりません」

「いいえ、あたくし、あなたのような警官に自由をしばられるような、わるいこと、しません。あなた、たいへん無礼です。