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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
いよいよ今日の日曜日は、花の慰問隊の大行進! 東京の工場という工場が、うつくしい花束、いや、おそろしい爆薬を秘めた花籠でもって飾られるのだ!
その早朝のこと、例の城南の警察署へ、一台の帆自動車がすべりこんだ。
運転台にのっていた警官が、すばやく外へ下りて、自動車の扉をあけると、中から、度のきつい近眼鏡をかけた紳士がひらりととび下り、階段をあがって、さっと警察署の中に姿を消した。
「おう、田所検事だ。いよいよ御入来だな」
そういったのは、署の前の、煙草店から出てきたあやしい黒眼鏡の男だった。
彼はそういうと、横を向いて、道路の傍で故障になった自動車をなおしている修繕工らしい長髪の男に目くばせした。すると、修繕工はかるくうなずいた。黒眼鏡の男は、そのままそこを立ち去ったが、あとには長髪の修繕工が、いかにも体がだるそうに、ぼつぼつ自動車の修理にとりかかった。が、彼の目は自動車にそそがれるよりも、警察署の表口と裏口あたりにそそがれる方がひんぱんであった。どうしても張番をしているとしか見えない。
何者であろうか、こうして、警察署に気をくばっている曲者たちは?