轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
こうして道子夫人の話を聞いていると、なんだか彼女自身が、道子夫人のさがしている棄てられた愛児のように思えてくるのだった。房枝の胸は、早鐘のようになりだした。
「ねえ、奥様。お棄てになったそのお嬢さまの名は、なんとおっしゃいますの」
ついに房枝は、思わずそうたずねてしまった。
光明
(お棄てになったお嬢さまの名は、なんとおっしゃいますの?)
夫人が、なんと答えるであろうか。もしも(その名は、房枝といいますのよ)といわれたら、房枝はどうしようかと、胸がわくわくした。多分彼女は、喜びにたえきれなくて、その場に卒倒するかもしれないと思った。
「娘の名でございますか。それは」
と、夫人は口ごもりながら、房枝の顔を穴のあくほど見つめた。
「あのう、娘の名は、小雪と申しますの」
「小雪? 小雪ですか。それにまちがいありませんの」
房枝は失望のあまり、わっと泣きだしたいのを一生けんめい唇をかみしめてこらえていた。
「ええ、小雪ですの。人様の手に渡っても、一旦私たちがつけてやった名前は、ぜひ名のらせたいと思い、メリンスの袷の裏に、娘の名を赤い糸で縫いとっておきました。房枝さん、もしや、あなたの本名は小雪とおっしゃるのではありませんの」