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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

たすけ起すと、一等運転士は気がついた。肩のところを銃弾でうたれ、ほんのちょっとの間、気をうしなっていたのだ。

「大丈夫だ、おれは」と、彼は肩をおさえて立ち上った。

「ピストルをうった奴をさがしだせ。その窓からうったのだ」

といって、彼は、あたりをふしぎそうに見まわしていたが、

「おや、船長、いませんよ」

「いないとは、誰が!」

「訊問中の曾呂利が」

「おお、曾呂利君が、銃声がきこえたとたんに、あっと叫んでたおれたのを見たよ。どこか、そのへんに、たおれていないか」

「さあ」

一等運転士は、船員たちにも命令して、そのへんをさがさせた。

しかるに、曾呂利本馬の姿は、どこにも発見されなかったのである。

「へんだなあ。どこへいってしまったんだろう」

「うん、たしかに、弾があたって、たおれたのを見たのじゃが」

たおれた曾呂利本馬、いや帆村探偵の姿は、どこかに、かき消すように失せてしまったのであった。

そのとき、外が、そうぞうしくなった。しきりに船員がののしっている。

「おい、一等運転士。あれは、どうしたのか」と、船長はあごで外をさした。

一等運転士は、肩口をおさえたまま、外にとびだした。