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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

「日本の船員、礼儀を知りません。あなたがた、いまに、思い知ること、ありましょう」

と、師父ターネフは、捨台辞をのこして、うしろへ下った。

「師父、ボートは、だめなの」

「うん、だめだ。われわれは、別の道をひらくしかない」

「困ったわねえ。とにかく、このままでは、汽船とともに沈んでしまうわよ。なんとかして、船をはなれなければ。あの連中は、来てくれるはずだというのに、なにをしているのでしょうね」

「たしか、もうそのへんに、来ているはずなんだがねえ。仕方がない。マストのうえへよじのぼって、懐中電灯で信号をしてみよう。ニーナ、おいで」

師父とその美しい姪とは、傾斜した甲板を走りだした。

仮面の師父

師父ターネフは、水夫長のような身軽さをもって、マストの縄梯子をよじのぼっていった。

ニーナは、その下に立って、警戒の役目をつとめているようすだ。

師父は、縄梯子をどんどんのぼっていった。そのころ、船艙から出た火は、もう甲板のうえまで、燃えうつって、赤い炎があたりをあかあかと照らしだした。

師父は、縄梯子を途中までのぼると、懐中電灯をとりだして、ぽっと明りをつけた。