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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

トラ十の目をつけた四角い箱には、帆村が、はるばる海外まで使をし、ようやく手に入れてきた貴重な物品が入っていた。それは一たい何であったろうか。

それは、外でもない。X塗料であった。

メキシコで発明された極秘の新火薬BB火薬のことは前にのべた。BB火薬はすこぶる爆破力が大きい新火薬で、しかもこの火薬は、ほんの少量で、ものすごいきき目がある。かの雷洋丸が爆沈したのも、実をいえば、わずか丸薬ほどの大きさのBB火薬が、第一船艙のある貨物の中に仕かけられていて、それが爆破したためであった。X塗料というのは、その恐るべきBB火薬の爆破力を食いとめる力のあるふしぎな新材料であった。

BB火薬とX塗料!

これはともに、メキシコにおいて発明されたのである。BB火薬の発明後、三年かかって、この塗料が発明された。

このX塗料が発表されたのは、わりあい最近のことであるが、メキシコでも、このX塗料が完成するまでは、BB火薬の多量生産と、その使用とを絶対に禁じていた。

それは、なぜかというのに、ものすごいBB火薬だけあって、X塗料がなければ、あまりに危険であって、国内で取扱うことができないからだった。