轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はちゅうかんじけん

爬虫館事件

海野 十三

「新青年」1932(昭和7)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,914 字 · 38 页

青空文庫

「貴方はこれをご存知ですか」

鴨田は腑に落ちかねる顔付で、無言に首を振った。

「貴方はご存知なかったのですね」

帆村はどうしたのか、ひどく歎息して云った。

「これはですね――」

一同は帆村の唇を見つめた。

「――これは露兵の射った小銃弾です。そして、これは三十日から行方不明になられた河内園長の体内に二十八年この方、潜っていたものです。云わば河内園長の認識標なんです。しかも園長の身体を焼くとか、溶かすかしなければ出て来ない終身の認識標なんです」

「そんな出鱈目は、よせ!」

鴨田が蒼白にブルブルと慄えながら呶鳴った。

「いや、お気の毒に鴨田さんの計画は、とんだところで失敗しましたよ。貴方は園長を殺すために、医学を修め、理学を学び、スマトラまで行って蟒の研究に従事せられた。そして日本へ帰られると、多額の寄附をしてこの爬虫館を建て、貴方は研究を続けられた。七頭のニシキヘビは貴方の研究材料であると共に、貴重な兇器を生むものだった。私どもはよく医学教室で、犬を手術し、唾液腺を体外へ引張り出して置いて、これにうまそうな餌を見せることにより、体外の容器へ湧きだした犬の唾液を採集する実験を見かけますが、貴方は生物学と外科とにすぐれた頭脳と腕とで、蟒の腹腔に穴をあけ、その消化器官の液汁を、丹念に採集したのです。