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うしおんな
牛女
小川 未明
「おとぎの世界」1919(大正8)年5月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,915 字 · 10 页
それですから、いっそう子供に対する不憫がましたとみえて、子供をかわいがったのであります。
子供は男の子で、母親を慕いました。そして、母親のゆくところへは、どこへでもついてゆきました。
牛女は、大女で、力も、またほかの人たちよりは、幾倍もありましたうえに、性質が、やさしくあったから、人々は、牛女に力仕事を頼みました。たきぎをしょったり、石を運んだり、また、荷物をかつがしたり、いろいろのことを頼みました。牛女は、よく働きました。そして、その金で二人は、その日、その日を暮らしていました。
こんなに大きくて、力の強い牛女も、病気になりました。どんなものでも、病気にかからないものはないでありましょう。しかも、牛女の病気は、なかなか重かったのであります。そして働くこともできなくなりました。
牛女は、自分は死ぬのでないかと思いました。もし、自分が死ぬようなことがあったなら、子供をだれが見てくれようと思いました。そう思うと、たとえ死んでも死にきれない。自分の霊魂は、なにかに化けてきても、きっと子供の行く末を見守ろうと思いました。牛女の大きなやさしい目の中から、大粒の涙が、ぽとりぽとりと流れたのであります。