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うしおんな

牛女

小川 未明

「おとぎの世界」1919(大正8)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,915 字 · 10 页

青空文庫

村の人も、町の人も、もうだれも、その子供のことについて、その後のことを知ることができませんでした。そのうちに、夏も過ぎ、秋も去って、冬となりました。

やがて、山にも、村にも、町にも、雪が降って積もりました。ただ不思議なのは、どうしたことか、今年にかぎって、西の山に牛女の姿が見えないことでありました。

人々は、牛女の姿が見えないのをいぶかしがって、

「子供が、もう町にいなくなったから、牛女は見守る必要がなくなったのだろう。」と、語り合いました。

その冬も、いつしか過ぎて春がきたころであります。町の中には、まだところどころに雪が消えずに残っていました。ある日の夜のことであります。町の中を大きな女が、のそりのそりと歩いていました。それを見た人々は、びっくりしました。まさしく、それは牛女であったからであります。

どうして牛女が、どこからきたものかと、みんなは語り合いました。人々はその後もたびたび真夜中に、牛女がさびしそうに町の中を歩いている姿を見たのでありました。

「きっと牛女は、子供が故郷から出ていってしまったのを知らないのだろう。それで、この町の中を歩いて、子供を探しているのにちがいない。