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ぶっしんいちにょのかがく

物心一如の科学

中谷 宇吉郎

「禪文化 第七号」花園大学禪文化研究会、1957(昭和32)年3月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,786 字 · 20 页

青空文庫

そういう公理を立てて、それに基づいて、学問を組立てたのが、今日の現代の科学であった。公理とはいっても、人間の頭の中で、勝手につくったものではなく、いろいろな実験の結果から推定したものである。そしてそれに基づいた科学が、必要とする精度の範囲内で自然現象をよく説明し、また役にも立つので、その公理は正しいものとされて来たわけである。

ところで、物質の方は一応よいとして、エネルギーの方には、一つの問題がある。それはいわゆる化学変化で発生するエネルギーである。例えば、水素と酸素とを混ぜて、火をつけると、爆発を起こして、水になる。初めは、水素も酸素も、透明な気体で、別にエネルギーなどもっていないように見える。出来た水も、ただの水であって、飲んでもちっともかまわない。ただの水であるから、これも別にエネルギーなどもっていないと思われる。ところが爆発というのは、非常な高熱と光とを出す現象であるから、水素と酸素とが化合する時に、多量の熱や光のエネルギーが出たわけである。そういうエネルギーが「無から有が出て来た」形で発生したものならば、これはエネルギー不滅の法則に抵触する。