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ぶっしんいちにょのかがく

物心一如の科学

中谷 宇吉郎

「禪文化 第七号」花園大学禪文化研究会、1957(昭和32)年3月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,786 字 · 20 页

青空文庫

ところがこの化合の時に、爆発という形で、大きいエネルギーが出て来る。このエネルギーは、物質がその分だけ減って、それがエネルギーとなって現われたとすると、新しい考えに合う。そうすれば、内部エネルギーというような今まで曖昧だったものも、その本態が解明される。しかし実質はそれだけ減るので、物質不滅の法則は棄てなければならない。

どっちが正しいか、実験してみたら良いと思われるかもしれないが、それは従来の方法では出来ない。物質とエネルギーとの比率が、あまりにも大きい数なので、爆発の時に出て来るエネルギーくらいの分は、物質の目方の減少としては、非常に小さく、どんな精密な天秤をもって来ても、測定が出来ないのである。

ところが、原子物理学が非常に進歩したために、この頃では、分子や原子一つ一つの行動がわかるようになった。これは、間接にいえば、天秤の精度が、今までのものより、一億倍も、一兆倍も増したことになる。それで一グラムの物質が、9×1020エルグの勢力に転換されることが実証され、それで現実に、原子爆弾や、原子力発電が出来ることになった。

それで厳密にいえば、物質不滅の法則も、エネルギー不滅の法則も、ともに適用されないことになったが、「不滅の法則」