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ぶっしんいちにょのかがく
物心一如の科学
中谷 宇吉郎
「禪文化 第七号」花園大学禪文化研究会、1957(昭和32)年3月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,786 字 · 20 页
これも精密な実験の結果確かめられたことである。即ち物質不滅の法則は、物質が化学変化をする場合にも適用されるということに、少なくも最近までは信ぜられていた。事実、現在ある天秤の精度の範囲内では、そのとおりなのである。
人間が死んだ場合、その遺体を火葬に付する。その時遺体が燃えて出来たガスを全部集めて、その目方を測る。それに残った遺骨と灰との目方を加える。この場合、燃えるというのは、空気中の酸素と化合することであるから、付け加わった酸素の目方だけ、この値から引く。するとその差し引きした目方は、火葬前の遺体の目方と等しい。即ち遺体の実質は火葬にしても変らないのである。これは実測した例はないであろうが、そうあるべきである。事実、本当に実験してみたら、そのとおりになるにちがいない。そうでなかったら、今日の科学は全部間違っていたことになる。即ち人間の身体の実質の量は、火葬にしても変らないのである。
魂があるか無いかということが、よく問題になるが、これは「ある」という言葉の意味によって、どうにでも返答が出来る。人間が生きている以上、魂はあるにちがいないがそれがものとしてあるか否かは、別問題である。