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カラスキーしのゆうじょう

犂氏の友情

久生 十蘭

「オール讀物」1939(昭和14)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,312 字 · 27 页

青空文庫

いやはや、とんだことを聞くものだ。先生が、こんなところでそんな馬鹿の限りを尽していられようとは、さすがに知らなかった。同国人の連なる縁で、こっちもすっかり赤面し、咄嗟に何と答えていいか、ただ眼玉をウロウロさせるばかり。とんと挨拶の言葉もないありさまだった。

石亭先生のお陰で、これまでにもたびたびひどい恥を掻いたことがあるが、こういう非凡なのはこれが初めてだった。馬鹿馬鹿しくて話にならない。いかにも先生が憎らしくなって、何もかも一切カラスキーにぶちまけてしまった。

カラスキーは、ふふ、と小刻みに笑ってから、まるで自分のことのような親切な口調で、

「先生としては、ここの空気に同化しようとして、一所懸命なすったのでしょうが、こんな場所で、あんな出鱈目をいうのは、すこし無考えすぎるようです。うまく利用されて、どんなひどい破目に陥し込まれないものでもないから」

「いちいち、ごもっともです、毎度のことながら、先生には弱らされます」

カラスキーは、陰鬱とも言えるような物静かな口調で、

「ともかく、先生は、ここで、毎日、むやみな金づかいをしていらっしゃるんですよ。……こんなこともご存知なかったでしょうね」