轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
カラスキーしのゆうじょう
犂氏の友情
久生 十蘭
「オール讀物」1939(昭和14)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,312 字 · 27 页
その楽しそうなようすといったら!……たしかにそんな時代もあった。……夢ではない。たしかに、むかしあったことだ。……しかし……」
と、いいかけて、急に夢から醒めたような顔つきになって、チラとこちらへ振返ると、軽い恥の色で、高い頬骨のうえをほんのり染めながら、
「……つまらないことを。……なんのつもりで、こんなことを喋舌り出したのか。……今日は、すこし、どうかしている。私が、こんなふうに情緒的になると、その後、きまって熱を出すのです。さァ、ずいぶん喋舌くった。もう、このくらいにしておきましょう」
と、いって、椅子の中に身体を起すと、上衣の衣嚢から古風な時計をひき出して眺め、
「おお、もう九時だ。……実はね、今日、九時半になると、非常臨検があるはずなんです。そろそろお帰りにならないと、うるさいことになる」
食堂の方を振返って見ると、なるほど、海象のような顔をした主人のほか、ひとりの人影もなかった。
「ご心配には及びません。ヴィエットの市門のところまで私が送ってって差上げます」
市門を出ると、カラスキーは、骨ばった手でこちらの手を握って、
「では、ご機嫌よう。どうぞ、ムッシュウ・ヤマカワによろしく」