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いぬとひととはな

犬と人と花

小川 未明

「黒煙」1919(大正8)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,015 字 · 5 页

青空文庫

よく心で、仏さまに、おまえもお願い申しておれよ。おそらく、三十年の後には、おまえは、またこの娑婆に出てくるだろう。」といわれました。

赤犬は、和尚さまの話を聞いて、さもよくわかるようにうなだれて、二つの目から涙をこぼしていました。

数年の後に、和尚さまも犬も、ついにこの世を去ってしまいました。

三十年たち、五十年たち、七十年とたちました。この世の中もだいぶ変わりました。

ある村に一人のおじいさんがありました。目の下に小さな黒子があって、まるまるとよくふとっていました。歩くときは、ちょうど豚の歩くようによちよちと歩きました。

おじいさんは、かつて怒ったことがなく、いつもにこにこと笑って、太い煙管で煙草を喫っていました。そのうえ、おじいさんは、体がふとっていて働けないせいもあるが、怠け者でなんにもしなかったけれど、けっして食うに困るようなことはありませんでした。

「おじいさん、今年は豆がよくできたから持ってきました。どうか食べてください。」

「おじいさん、芋を持ってきました。どうか食べてください。」

「おじいさん、なにか不自由なものがあったら、どうかいってください。