轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いぬのはじまり
犬のはじまり
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页
どうして連れて来られたのか知らないしろは、又、どうしたのかわからない原因で、死んだこと丈確に私共の生活から消え去って仕舞ったのであった。
それから何年も経った。
父は英国から帰って来た。
弟達と妹とが殖えた。近所の様子も変化した。
一九二四年の今日(二月)、林町界隈であの時代のままあるのは、僅に藤堂家の森だけとなった。古い桜樹と幾年か手を入れられたことなく茂りに繁った下生えの灌木、雑草が、かたばかりの枸橘の生垣から見渡せた懐しいコローの絵のような松平家の廃園は、丸善のインク工場の壜置場に、裏手の一区画を貸与したことから、一九二三年九月一日の関東大震災後、最も殺風景なトタン塀を七八尺にめぐらし、何処か焼け出され金持の住宅敷地とされてしまった。
株で儲けたと云う須藤が、彼方此方の土地開放の流行の真意を最も生産的に理解しない筈はない。恐らく徳川幕府の時代から、駒込村の一廓で、代々夏の夜をなき明したに違いない夥しい馬追いも、もうあの杉の梢をこぼれる露はすえない事になった。
種々の変遷の間、昔の裏の苺畑の話につれ、白と云う名は時々私共の口に上った。
けれども、以来犬と云うものは嘗て飼われなかった。