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きょうかしあかちょこべえ

狂歌師赤猪口兵衛

夢野 久作

博多名物非人探偵

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,418 字 · 79 页

青空文庫

どのような御大家でも縁辺のお話となりますと、一度はキット私の存じ寄りを聞きに御出でになりまっするで、私が、あれなら大丈夫と請合いますると、それからお話が進みまするような事で……ヘエ……」

と自慢そうにモウ一度、鼻の頭をコスリ上げた。しかも非人同様の姿ながら恐れ気もないその態度と、プンプンする熟柿臭い異臭が、いかにも不快な感じを与えたらしい。松倉十内は一層威儀を正しながら睨み付けた。

「ウム。それならば相尋ねるが、その方は博多蔵元町、蔵元屋の一人娘、お熊というものを存じておるか。この間万延寺境内で斬られたと申す。存じておるであろうな。あの一件を……」

「ヘエ。あの娘の事ならば、実の親が知らぬ事までも存じておりまするが……」

「ウムウム。それは重畳じゃ。実はあの娘の事に就いて少々相尋ねたいために今日、良助に同道致させた次第じゃが……万一、その方の申立てによってあの胴切りの下手人が相わかれば、褒美を取らするぞ」

「ヘエヘエ。それはモウ。申上る段では御座りません。もはや御承知か存じませんが、あのお熊と申しまする娘は取って十八の一人娘、七赤の金星で、お江戸なら一枚絵とかに出る綺倆で御座いましょうな。