轻松读懂日语经典作品
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ねこぐるま
猫車
宮本 百合子
「改造」1937(昭和12)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,310 字 · 35 页
「そんならなんで坂口はんは損ばかりしといでるんじゃ。若い頃、横浜でチーハーにかかりよって、わしは懲りちょる。飯も食えんようになりよった。株はいかん! こっちに二百円儲けた者があれば、きッとどっかにそれだけ損しちょる者がある。畑なら何がないようになっても、食うてだけはゆける」
体のがっちりとした気もがっちりとした地主の爺さんと、肩のすぼけた、気もすぼけた地主の爺さんとは、両方とも譲らず、その執拗さで却って二人ながらに迫っている老耄を思わせるばかりに株がいい、土地がいいと諍っている。きいているおさやの家には土地もなければ、株もない。
三時の市況をラジオできいてから、やっと坂口は店先から出て行った。
おさやが、
「――どうどす、この頃は――嫁はんやっぱり卵もって来はりますか?」
と、笑いながら訊いた。
「来よります」
白い瀬戸ものの歯の上で唇をすぼめるような恰好にして重蔵が答えた。
「せんぐり持って来よる。それにおとといから待遇がぐんと違って来た。風呂がわくと、先ず、お父はん、お入りませと云うて来るようになりよった、ハハハハハハ」
その笑いかたには、隣りの座敷にいるお縫が思わず注意をひかれたほど棘々しさがあった。