轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねこぐるま
猫車
宮本 百合子
「改造」1937(昭和12)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,310 字 · 35 页
ジャカジャン、ジャンジャンという三味線の響は、お縫の洗いものをしている土間から暗い村の夜の中へまで響きわたって行く。主題歌なんかは時々自分でもうたう正一が、ラジオの洋楽というと消すのはどういうのであろう。一つしか年のちがわない素朴な直二は、お縫から見ると子供っぽく思えるし、さりとて、三つ上の正一の気持には、男のせいかお縫には分らない節々があった。意味はわからなくてもヴァイオリンや笛の音が、美しいメロディーで流れるのをきいていると、時には眠くなりもするが、概してお縫はいい心持がした。そういう洋楽の音は、お縫のまだ知らない東京の生活や一年に一二度映画で見る外国の街での若い人々の生活や、少くともここのまわりの毎日とはちがった華やかで甘美な気分への憧れ心を刺戟した。お縫は東京暮しをすることが自分の生涯にあろうと思っていなかった。まして外国なんか。だから一層そういう憧れ心はお縫にとってただ心持よいだけのものとして感じられるのである。――今夜は茶わんを洗いながら、やかましい三味線をきいていて不図これまで思いもしなかった或ことに気がついて、お縫はひそかに正一にすまないように感じた。