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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
一つ話になっただろうと笑いました。今は、もっともボロとも云えないけれど。注意いたしましょう。
犬たちは有益です。でも集金の人たち犬ぎらいね。どうして、どこでも吠えられるのだから好きになってしまわないのでしょうね、わたしは狂犬以外には自信がありますが。けさもガス屋、巻ゲートルで血相かえて、手に瓦のかけをつかんで犬を追っかけるのよ、憎らしい腹立つ気分も分ります、でも気の毒ね、沁々そう感じました。大丈夫ですよ、と云ったら、息はずまして、うちの人には大丈夫かもしれないが、くわれてからじゃ間に合わないからね、って。人生を感じました、そういう人の。嶮しいものです。
でも犬がワンワン云うのでおや、誰か来たかと思い、わるくありません。クリと熊はどうして育てましょう!〔中略〕
太郎が、十一歳頃から少年の後期を田舎の中で過すのは実にようございます。つい先日午後学校からかえって出かけ、夕刻おそくなっても戻らないので心配していたら、ドジョウ二匹獲もので揚々と引上げて来たのですって。〔中略〕
わたしの二つの肺の悪戦が、あの範囲で終ったのなんか、みんな、早ねすべし、早おきすべし、面会に来るべし、体温はかるべし、べしべしづくしで泣面しながら、大したごま化しもしなかったおかげと、今は心から御礼を申します。