轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
一休みしていたらキューキュー仔犬の声がするので、北側あけてみたら、親子二番目の子――熊・クリで遊んで居ります、クリは雄らしく、珍しいこと。チンは女権拡張で女ばかり生んでいましたが。クリを寿つれて行くのかしら。
きょうの宿題はすんだから、予定通り穴のあいたスリ鉢に、つる菜もまきましたから、あとは本よみでいいのよ。あ、まだ一つある。二階の大掃除。これは、疲れるから夕方にしましょう、ねえ。かまやしないわ、わたしたちはここにいて、楓の若葉眺めているのですもの、ここもテーブルの上は紙や帳面やでかなりの有様ではありますが、こういうちらかりには性格があり、生活が現れていて、却って落付けるようなものです。
こういう暮しをしてみて、段々わかり、この先、もし国が引こして、わたし一人ここのどこかの隅で暮すようになったとして、十分やって行ける自信がつきました。仕事が期限つきである生活の心持と、そうでないとは、こうも違うものでしょうか。その点わたしは例外の生活習慣をもって十八歳から暮して来たのであったと思います。
一層生活をたのしみます、この調子で見ると、私はもう少し経ったら、本気で仕事はじめて、こういう紙の上だけでない二人遊びの時を十分に、十分にしんからたのしく暮す丈仕事しておかなくてはならないと思います。