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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
今のところ自分で見当がつきません。そういう目安を自分で見つける為にも、今のうち一寸行って見るのはいいと思います。七月三十日か三十一日に立つつもりで居りましたら、何だか急に二十五日にでもなりそうよ。それというのは、寿が荷物をとりまとめのために、二十五日からトラックの来る二十八日迄ここの家にいて働きます。それはそうでしょう。国は、一つ家にどうやっていられるか分らない由、いやで。声をきき、顔を見、働く気配が。咲は、予定では二十六日にかえる筈でした。咲に云うのよ。わたしは、いい加減がまんするけれ共、寿と国とが、そういう状態でいる間にはさまって、両方へ気をつかって、寿は寿、国は国で食事するなんていうのに奉仕は出来ない、と。国が二十五日にくり合わされれば、わたしは国と開成山へ行き、寿の引越しは咲がいてやればいいでしょう。国は、わたしが寿に何でももたしてやってしまうと心配かもしれないから。わたしと咲が東京にいたのでは国、ぞっとしないし、開成山へ行けない由。あっちで女中と子供のところへとびこんで、どうしていいか分らない由。大人の男にもこんなのがあるのよ。きのうから国府津へ二人で行っていて、家の最後的片づけをやって居ります。