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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
神経と関係のある文章の動きのリズムが弾力にとんでいて、リズミカルであるか、感覚が緻密か粗大であるかという点を、ね。書いている間には、自然で、なだらかに展開いたしましたが。ほんとに其がしりたいの。こんなに言葉が落ちるものの話しかたがのこっている以上、気になるのよ。あなたは余りお気づきにならないようだけれど。それが分るほど長くたくさんいろいろのことを喋る時間がないからなのね。長く喋っていると、ガタガタにしか発音出来ない音の重りがあります。却って口の方がそうなのだろうが。
でもね、私は、人前で喋々出来にくいことになって、いいと思うのよ。作家はかけばいいのです。喋らずといいわ。画家は描けばいいのよ。中川一政が、字で喋り、そのお喋りは絵よりも往々にして面白い。これは一大事だわ。ですからね。では明日。さむくないように。
一月二十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
一月二十四日
きのうは暖い日でした。きっと、ホホウ暖いねとお思いになったでしょう、前日は夕方一寸みぞれが降って、雪かと思ったのでしたが。特別暖い日になりましたね。
そして、又きのうは、何となし可笑しかった日よ。