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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
さて、洗濯ものを乾してから、あなたの冬の羽織を、今年も多賀ちゃんに縫って貰うため、綿を出して用意いたしました。真綿なんて、何と無いものになってしまったことでしょう、これは即ち、去年のを又今年も使いますということなの。ことしは、御平常着と、外出用と綿の入ったものが二通りいるでしょう、それとも、そとのは、袷でどてらの上にお重ねになりますか? 枚数の点などでどちらが便利でしょうね、明日でも伺いましょう。折角風邪をひかさないように掛布団は出来ましたから、着物も間に合わないというようなことのないようにしたいと思います。
小包作り終り、やっとやっと、という気もちで此をかきはじめた次第です。書くこと、読むこと、あれこれのこと、わたしはどうしてもつい、あれこれ時間が惜しくて閉口の時があります。だもんだから、何となし仙人くさい状態になってしまって、それを世帯もちの眼から見ると、アラ、でも仕方がございませんわ、外になさることがおありなんですものホヽヽヽヽということになるのね。それでもまだまだわたしには比例がとれません、オホホホ式であってなお此だけ時間がかかるなんて、ね。