轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
味の奥行きが出て美味しくなりますから。野菜や獣肉が。あの素晴らしい支那人の料理法は勿論のこと。
すっかり涼しくなって、夜は蚊帖をなくいたしました。夜、床をのべて、季節のうつり変りの風情のふかいとき。それは感じふかい一ときです。わたしは、くっきりとその風情を感じとり、そういうときわたしたちがその感じを表現するしかたを思います。それは、いつもたっぷり真率に表現され、自然の愛嬌と優美にみちて居ます。初めてほのぼのと灯かげの上に蚊帖をつったとき。それから一昨夜のように、どこか澄んだ秋の灯の下で、初めて蚊帳のない床をのべるとき。声のきこえない、影の一つしかない部屋の中に、物語は多うございます。深く深く重った影は一つにしか映らないということを、この壁は知っているだろうか。壁は元来何となしそれほど賢そうには見えないものなのね。
きょう、朝五時から七時まで防空演習がありました。午後からは、近所の防空壕の泥運びです。わたしはそういう働きはすこし無理だから、泊っている事務所の若い人に出てもらいました。もう九年ほどつとめている女の子です、営養士の資格をとってね、それで就職したい考えです。