轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

親船がどう向きをかえようと、スピードを変化させようと、もう曳綱がゆるみすぎるとか張りすぎるとかそういう心配は全く不用になって、小船は、身の程は忘れないながら、サアどのようにも、とよろこび確信しているのです。この、きっちりと入れこになって、沖へ出た感じ、何に譬えたら表現されるでしょう。いやで目ざわりで、そら又近づいたときらっていたごたごたした岸はいつかはなれて、潮先が、地球の規律にしたがってさしひきしているその沖に、今や航行中という感じは、どんな模様の旗をかかげたらば語られる歓喜でしょう。

精神の船は、赤道を通過しました。小さい櫂でエッチラおっちら、やっていた骨折りも決して無駄ではなくて、其は曳き船となり、更にもっと本式の航行形態となりました。

人間の内容が単純である時期は、一冊の本をよんでさえも、知らなかった一つの扉をひらかれます。時を経て、仕事もすこし重って来たとき、いざ沖へ更に、ということはどんな者にとっても一つの難業です。芸術家は、自身に破産を宣告しなくてはならず、仮にその勇気はあったにしろ、条件が不均衡だと破船いたします。その例が、どんなに多いでしょう。