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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

だから二つの補充球を寄附しようというわけです。母さんが放送して帰りに日暮里まで廻るのよ。こうですものね、女性お気の毒です。

きょうこそ又七時に床へ入りたいと思っていたのに、今夕飯終り九時五分前です。三行前のところで八百やの配給があり、一時間十五分立ちん坊いたしました、そして暗くなりきらぬうちと大いそぎで御飯たいて、日暮里へ行きました。靄のふかい月夜で、感情を動かされながら歩きました。十一月下旬でもこんな靄のこい夜がありますね。九時すぎ、ボーが鳴りそうだから出してしまうわ、ね。これで。

[自注15]十三年の封鎖――昭和十三年頃、中野重治や百合子等に対する執筆禁止の措置。

[自注16]格納庫にいるきりじゃないか――この手紙を書いた頃、百合子は二度めの執筆禁止の状態におかれていた。そのことをさす。