轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
きょうはもう二十日となりました。早さおどろくばかりね、壕生活を、わたしはすこし張り切って居ります、というのはもとより望むところではありませんし決して永もち出来る風土的条件ではありませんが、それでもそうなったらわたしは自分のこれまでの諸生活の形態から学んだやりかたを十分活かして、最大に快活に健康に堂々とやって見ようと思って。そのときこそわたしは人間はいかに生きるかというキリキリのねうちが知られると思います、厖大な家を、ゴミだらけにしているユリちゃんばかりが、わたしではないのですもの、ねえ。
二月二十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
二月二十三日
二十四日
二十五日
きのうの吹雪は東京に珍しい光景でした、本当の吹雪で。一尺近い積りかたで庭の雪景は眺めてあきません、二階の庇が重くなったらしくて雨戸が動かなくなったり。
父の亡くなった十一年は二月に入ると大雪つづきでした。いかめしい建物の庇合わい[自注3]にうずたかく凍って、いつまでも白く見えていた残雪の風景を思い出します。楓という樹は若葉が美しいばかりでなく、秋が見事なばかりでなく、雪を枝々につけたとき大層優美なのね、末梢が細かいから、そこに繊細に雪がついて。