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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

12 一九四五年(昭和二十年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页

青空文庫

寿が、いい工合に前日(二十五日)来ていたので昨日は火の見張り、水くみ、けさは雪かき、情報ききと親身に活躍してくれて、大いに助かりました。いる女の人は火が近い、となると、自分のものをもってうろうろして、私が云ってやっとバケツもって出てゆく程度ですし、最後まで安全と思っていたところが案に相違して、ひるも夜も同一線に落してゆくというようなことで浮腰たって居りますし。今にきっと何とか云い出すわ。そのときわたしは是非いてくれ、とは云いたくないのよ。寿が来てもいいと云ってくれるから、そういう時は寿がここに暮してくれるよう、開成山に談判しましょう。国が用事で上京する、そのとき寿がいては困るというのは余りひとを馬鹿にした話だしするから。でもね、国に云わせれば姉さんがいるからそういうことになる、というかもしれないわ。

けさは七時すぎサイレンで起きましたが、ありがたいことに来ず。又午後かしら。午後はBだからいやね。動坂の家の先に富士神社があったでしょう、きのう以来、あのあたりもあったところということになりました。うちのすぐ前の交番の横通り。こんどはあすこよ。なかなかでしょう? 昨夜は、ローソク生活でした。