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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

12 一九四五年(昭和二十年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页

青空文庫

明日おめにかかれるかしら。くすぶってもいない顔を見て頂きましょう。

では

[自注5]遠方にいて――当時百合子はソヴェト同盟に滞在していた。

[自注6]カジョンヌイ――「役所の」の意。

[自注7]古すぎて駄目でしたって。――監獄で雑誌は一定の時期がすぎると差入れを許さなかった。

[自注8]「菊の花」「根」――中野重治の作品。

三月十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

三月十五日

けさは出かけようとして御飯を終ったとたんボーとなってしまいました、森長さんの返事をお待ち兼ねと思いウナで電報出しました、早く御手許に届くでしょうと思って。

きょうは又曇りました、そして少し寒いこと。警報がこうして出っぱなしだと、用足しも遠方には行けないから、午後からもし平安だったら、すこし珍しいひるねということをしようと大いにたのしみです。

七八人もの茨城屋の足音のきつい人々が、夜おそく朝早くとどろとどろとふみ歩いて、もちを焼く匂いを二階までよこして出つ入りつしていると、やはり疲れます、それに、二十五日、四日、十日、とつづけてでしたし、ね、きょうの工合はどうでしょうと思って居ります。