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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

03 一九三六年(昭和十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,453 字 · 101 页

青空文庫

スエ子も咲も国もそれぞれに書きます。御目にかけられるのが楽しみです。

スエ子は昨日から鵠沼へ住みました。小さい離れが小料理やの裏にあり、私がもと(四五年前)仕事部屋にしていたところ。半年ほど東京と半々に暮すそうです。太郎は相変らず。

私の仕事はプランが大きいので手間がかかりました。そろそろかきはじめます。自分で何だかこれまでとは違う心持が内部にしているのは興味があります。思いがけず助けてくれることが出来るひとがあって、第一部の下拵えはまことに好都合でした。体もお通夜できょうは背中が痛いが、大体は順調ですから御安心下さい。この二階から紅葉した楓の梢が見られます。上林辺はきっともう雪でしょう。きょう毛のシャツ、下シャツ等をお送りいたします。呉々もお大切に。十二月の十日頃にお目にかかります。かぜをお引きにならないように。では又ね。

[自注19]小野さんが急逝されたこと――音楽家関鑑子の良人、新協劇団演出家小野宮吉、数年来の腎臓結核によって死去した。

[自注20]須山さん――須山計一。

[自注21]大月さん――大月源二。

[自注22]劇団葬――新協劇団葬。

十一月二十六日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕