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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
歴史は幾変転して読者の要求が高まるに正比例して、バルザックのような相互的解決が或種の作家にとって外部的に不可能であるところに歴史の妙味があります。
野原の方のことについて御返事がありましたか? 私の方へはまだであるが、あの地所は広いので、分割して売ると、整理して猶住宅と土地だけは残り得る計算だということは、この間のお母さんのお手紙にもありました。地所が大きいからそういう都合にゆくのでしょう。但し、活動の中心から地理的に遠いため活動的な買手がなかなかつかないらしい。それで整理が永びいているのです。講のほかに近隣からのユーヅーもあるらしい。くわしくわかったら又改めて書きます。
私はハンドバッグの中にきのう貰った面会許可をもって居ります。四五日うちにお目にかかります。その前に一寸お体のことを調べたいから――私の知識ではあやしいものだけれど。――
太陽燈あてていらっしゃいますか? 慶応などでも軽い熱のひとはかけている由、時間を加減して。私の手のひらの下にはあなたのおなかの気持のわるいところの感じがはっきりつたわって居ます。そして、私は念を入れてそれらのところを撫でる。