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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

体を大切になさることが島田の家のために重大であることをよくおっしゃってあげて下さい。こちらから又腎盂炎のための薬、暖い下着、夜具などお送りいたしますから。

私が野原へもゆき、十三日には野原からも島田へ来られ、先頃じゅうのもしゃもしゃも一応調和状態になって居りますから御心配なく。多賀ちゃんも島田で手つだってくれるつもりで居りますし。私も今度は盲腸も痛めずかえりましたから御安心下さい。この頃割合にましな方です。あなた野原の克子と冨美子ととりちがえていらっしゃるのではないかしら。一人前の手紙をかくって。克子は一番の姉娘です。この間あげた手紙の主は冨美子よ、今小学の六年生の。いつぞや私が間違えた高校時代の賄のことはよく申上げてきました。お母さんはもうすっかりお忘れだから鶴さんの返事をまちましょう。経堂辺に住んで出版屋につとめていられるらしい風です。緑郎、寿江子、友達たちへのおことづけは皆申します。稲ちゃんのところでは鶴さん又盲腸らしい由。十七日には御飯一緒にたべようとたのしんでいたのに。――

このお手紙にもある大きい平安の気持。私には非常によくわかります。