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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

おかゆの境地を脱したら実に実にしめたものです。こんなにやいやいいう体面上、私も気をつけ最上の健康を気をつけますから御安心下さい。私の盲腸も妙な奴で、曲者です、ただものでない。可笑しいわね。まア、適当にあつかって居ります。

ところで、どてらお気に入りました? 今、もう押し迫って縫って貰えないので出来ているのを買って背中へだけポンポコ真綿を足したのです。エリは大変柔和でしょう? 顎や頬にやさしく当るでしょう? きっとあなたはもっともっとふくらんだのを欲しくお思いだろうと察しているのですが、どうか辛抱して下さい。あれでも普通よりは厚い分なのですから。

もう一枚の綿入羽織は一月中旬にしかお送り出来ません。これもあしからず。

二十二日ごろ、光井の方へ 500 お送りしておきました。あなたの方のお小遣いもあれで当分間に合うし。いい正月と云うにはばかりなしですね。

きのうは、午後五時までかかってやっと夏以来の宿題であった「今日の文学の展望」96枚かき終り、夢中で終って雨の中を林町へゆきました。太郎の誕生日は十日であったが曾禰博士[自注20]の御不幸でいそがしかったのできのうにしたのです。