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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
河合の息子(咲枝の姉の子)たち、その身内の男の子四五人男の子ばかりで来ていて二階をすっかり装飾し、どったんばったんの大さわぎ。寿江がプロムプターであるが、この前からの風邪の耳がまだなおらず、繃帯に日本服姿でふらふらしていました。丁度私の行ったのは六時半ごろで、程なく昼の部は終り。子供ら引上げ。忽ち太郎孤影悄然となったので、歓楽きわまって哀愁生じて、泣いてしまった。実にこの子供の心もちわかるでしょう? 一人っ子なんてこれだから可哀そうです。
それから夜の部がはじまって、こっちは大人の世界。御飯一緒にたべて、寿江へ買ってやった小幡博士の音響学の本の扉に字をかいてやったりして、珍しく昨夜は林町に泊った。おひささん一人故泊ることがちっともないのです。仕事の荷が降りたところなのでフースー眠って、目をさまして、すぐには起きもせず、私にいただいてある黒子のごくそばで遊んで、懐しがって、優しい感情と切ない感情と、てっぺんではどうしてこう一つなのだろうと感じ、凝っとしていた。
それから起きて、食堂で太郎がトランクへちょこんと腰かけてお箸で食べているとなりでシャケで御飯たべて、「アラ百合ちゃん奈良漬がすきだったわね、一寸きってさし上げて」