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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
六、二ぐらいの家である由、あの界隈は。西巣鴨二丁目という辺はきっとバタやさんが多く甚しいくねくね小路で空巣もあるらしく、何かききたいと思って格子に手をかけてもスラリとあく家はありませんでした、二軒ばかりできいたが。空いている家かと思ってきいたとき。空巣では私たちも笑う思い出がありますね。動坂の家で。あなたの大島だけぜひ出させろと私がねじこんだというようなゴシップつきの。そして、その一味の婆さんが一緒に弁当をたべるとき、きっと私に向っていただきます、とあいさつをしたという世にも滑稽な話。滑稽でも空巣とのそういうようなめぐり合いは恐縮です。
さて、一月中の表を思い出してつける、これはほんとの大体で今これをかくというのも気がさすようなものですが。手帖を見ると、成程一月に入ってからは計温書いていないで、二十九日ごろから又つけて居ります。
○一月一日から退院する一月十日まで。朝七時半。消燈九・三〇。熱は平均朝五・九ぐらいから六・二三分(六分どまり)でした。
○退院後は、朝さむいし、起ききりにならず暮したので、朝九時ごろ夜は十時ごろ消燈していたと思います。熱はもういいことにして頂こうと思ってとらず。