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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

ヴァルガのは二冊でしょう? インドの本はいつか見て目についていた本です。明日繁治さんがゆきます。そして、七日か八日には寿江子がゆきます。私は七日ごろ家へかえると思いますが、外出はすこしおくれるから十五日ごろおめにかかれることになるのではないかしら。殆ど一ヵ月ぶりね。顔だけ見てはどこも変っていなくてきっとおかしな気がなさることでしょうね。

一月四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 慶応大学病院より(絵はがき三枚 (一)同病院正門、(二)同病棟大廊下、(三)同全景)〕

(一)この門が信濃町に面した正門。つき当りの自動車のとまっているところが病棟の正面玄関です。この玄関を入ると、子供の群像が一つ立っていて、その正面後のドアからい号に入る。左手に(ドアの手前のホール)二階へ上る階段があって、そこからい号の上へあがるようになって居ます。上ってゆくと、休憩室のようなホールに出て、その窓がこのエハガキの正面に(二階)三つ並んだ大窓となって見えます。もといたのはい号の左側。エハガキの左側の植込に面した側。今は右側。内庭に面して居ます。

(二)ほ、だの、と、だのという字の札が見えるでしょう? これはずっと奥の耳鼻などの病棟。