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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

来週は四日も休日になります、つづけて。日月火水と。四月にも二日つづくお休みが一二度あるらしい。この頃は小学生のよう。お休みの日がつづくと、その間に宿題どっさりやろうといきごみます。土曜日から本もって帖面もって、国府津へ行こうかしら。そしたらお客は来ず随分よくばれる。国府津にはもうあの重いような春の風が吹いているでしょうか。これは今フット思いついたことです、プランというほどのことでなし。実行には又留守番だの何だののことがありますから。こう書いているうちに行きそうもない気がして来てしまった。国府津のバスもこの頃はきっと間をおくでしょうし、ハイアも、もう五十銭ではないかもしれませんね。目白新橋間のバスはずっと豊島園の方まで延長しているのですが、このごろいくつか止らないところが出来ました。鬼子母神の近くの高田本町というのはとばしてしまいました。国府津へ行ったりする費用で、私は一枚そちらへゆくとき着る春らしい着物をこしらえましょう、どうもその方がいいらしい。春らしい、生活の心持のいくらか映った色の着物を。瞳も春の色を映していいでしょう? そちらへゆくときこそ、私は一番おしゃれしていいわけですもの。