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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
おユリはどんなおばけになることやら。そちらへばけ出そうと思います。どうぞ私のおばけが通れるだけ窓をひろくあけておいて下さい。呉々もお願い。
あなたが大変元気そうで、ときょう徳さんが申しました、くりかえして。手袋、足袋、もう入らぬ由です。ではあさってこそ。
[自注12]寿夫――池田寿夫。
[自注13]スノウの細君――ニム・ウェルズ。
[自注14]一平さん――岡本一平。
四月三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
四月二日 第二十八信
きのうの日づけのお手紙。これはレコードの早さです、そう思って終りへ来たら、まあこれはきのう私が出かける前におかきになったのですね。早い手紙ね、おきぬけの。
一日から八時になって、八時半から四十分の間に第一の呼び出しがあります。まだ肱の力のつよい女軍が相当ですが。池袋の方へ市電が通じたら、池袋辻町のバスが大層すいて朝のキューというような圧し合いがなくなりました。池袋の方はまだ試乗しませんが、表門のすぐわきへ出られて便利の様子です。
このお手紙で云われている必然的未熟さの征服のことは、文学の現実、生活の現実のなかでは、実に意味ふかく複雑な形態をとります。