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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

◎只今寿江子からハガキ。十五日のつぎは二十一日にそちらへ行ったのですってね。二十四日(今日)行くかどうか書いてないので、二十四日行くものとして速達出したあなたへの伝言届かないうちに二十七日になっては困るので電報出しました。

五月四日 夜。

何と久しぶりでしょう! 深いよろこびの心でこの紙に再び向います。二十三日に書き、二十四日に一寸書いたぎり、十日経ちました。今夕は母上、咲、国と歌舞伎座です。去月の十三日以来、初めて一人の夜。二人きりの夜。二通のお手紙にやっと返事をかくわけです。朝六時から夜九時半までのフール・デェイ・サーヴィス故何卒あしからず。お母さんに、何しろ親孝行の注射みたいなもので、間を相当もって頂かなくちゃならないから、相当太い注射をしなくては、と云って大笑いです。

さて、二十五日の夜は八時二十五分に島田の駅を立ちました。広島で一時三十二分のサクラにのり、相当こんではいたが姫路でお母さんの隣の人が下車したので一人で二つの座席をおとれになりました。大阪の午前八時に私のとなりがあきました。大阪では克ちゃんがプラットフォームまで出ていて、お茶や弁当の世話をしてくれました。