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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
死んで持って行かれやしまいし、と金について考える考えかたは日本に行きわたっているし、日本の観衆にとって大したことなく思えるこの作品も、きっとそういうアメリカでは、アメリカ的楽天性に入ったヒビに対する膏薬なのでしょうね。金貨ジャラジャラやって哄笑していた顔が、ペソスのある笑いの漂う口元になる、その道しるべとでも云うのでしょうか。
十八日
『婦人公論』の短いものを書いているところへ電報。書くことにふれて自分たちの生活を考えていたところへ。短い用事の文言ながら、何と生々しい声の響が感じられるでしょう。くりかえし、くりかえし。手から離れず。
短い時間で書き終ると思っていたら、何だか、書くことから心が遙か溢れてしまって。
ペンクラブで、ポーランドから来た人の招待会があります、六時から。
十九日
今日を待って待っていて、こちらでは大変番号がとぶのを気にして居り、その気持でお顔みたら気分わるそうで、何だかいろいろなものが一時に重ったような気分でした。お大切に。どうかおたいせつに。三十日ごろにはきっと大分ましにおなりになるに相異ありません。ね、私は自分のこの心配を現しようがないからね、毎日を猶一生懸命に暮そうと思います。