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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

うちの母方の従妹で、和歌をやり、ラグーザお玉さんの大ひいきである古田中[自注16]という奥さんの息子、だから私の又いとこ、が八日に赤坂に入営しました。召集です。挨拶が来ました。その家は男の子三人、女の子一人。男の子の最初です。すこしこちらにいて、出かける由です。

二十一日

さて、昨夕は数寄屋橋外のニューグランドで『婦人公論』が一つの座談会をやりました。岡山に国立の癩療院があって、そこの院長光田という先生は、日本で明治三十年代に初めて癩の国家施設をつくったその当時からの専門家であり、四十五年間の努力をつくしている方。もう一人は昭和に入ってから大学を出て博士をとって熊本の同様のところで活動している林という少壮。その二人を主として、大谷藤子(作家)平井恒子(婦人運動の方?)私とがきき役で、いろいろの話をきいたわけです。光田さんは歴史そのものであるから話は尽きない。大変面白うございました。或点から私たち外部のものに語られない面の多くあることも判りましたが、しかし、一つ深く感銘したことは、『婦公』の思惑では、小川正子の「小島の春」が出たりして一般の関心がたかまっているから、かくれた婦人の献身者の話などきき、女のサアという声を発しさせようというところにあった。