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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
ああいう特殊な病との闘いの形でだけそれを見たように思っておどろく、何の精神ぞや、と思っていた。何と動物的に無自覚に命をもっているのだろう(そういう病でハッとするのだって、動物性から大いに作用している。トルストイのイ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ン・イリイッチの描写を見れば彼の方が遙かに鋭い。トルストイは動物性を自分の人間としての日夜の中にはっきり自覚していたのだから。彼の解釈と批評の当否は又次の問題として)。
きのうは出かける前、人生のフェア・プレイのことについて短いもの『婦公』にかきました。
二十二日
きのうは何という風でしたろう。大森や芝に大火事がありました。あの風の中を、昼から帝大の医学博物館見物にゆきました。案内してくれる人があって。
もと、いろいろなところにちらばって置いてあったもの(法医学教室や何かに)を、赤門の銀杏並木をずっと入った正面つき当り、藤棚(池の上)の右手に新しく出来た法医、病理、解剖などの教室の三階全部にまとめたもの。この間荒木文相が帝大に行ったので、そのためにもいそいで並べた由。珍しいし、いろいろ面白く、四ヵ月の胎児の骨格というのを見て感動しました。