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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
ですから、この車が又ぞろ出るというわけです。これから仕事にとりかかります。新書にウィットフォーゲルの『支那経済研究』が出て、面白い由です。御大切に。
六月二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
六月二日 第四十五信
きょうは、結局二度お歩きになることになってしまったようですね、おつかれになったでしょう? かえりに電話かけて見たら丁度そろそろそちらにつく頃だとのことでしたから。かち合わないようにとわざわざたのんだのにね。
いろいろお話したこと。例によっての云いかたしか出来なかったけれども、要点をはっきり、現実に即してすぐのみこんで頂けて本当にうれしゅうございます。本当にうれしく気が休まる思いです。別の人をもう一人とおっしゃっていたし、三十日来、苦慮していた次第でした。性格やその高くない面や野心やそういう要素をはっきりわかって下さると、その上でのこれからのやりかたが細かいディテールにふれて、やって行く上に便利です。通俗作家が『朝日』へ連載になるのをもって一つのゴールと目ざすようなものでね。新聞へも並び大名の前列に一寸出てのるというようなことが関心事であると、その立役者として場所に非常に敏感で、自分のことが仕事なのか、ひとのためなのか混同されてしまうのですね。