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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
ます。その点からかいて行くと興味があると思います。
今、下からは寿江子のかけているラジオでベートウヴェンの「土耳古行進曲」が響いて居ります。どうもこの音というものが。寿江子の音楽に対する理解解釈評価それはなかなか同感されるのですが、音楽と文学とは何とちがうでしょうね。音楽をやる人は、謂わば考えることも感じることもすべて音である、その音が、こっちには同時に同じこと考え感じていたにしろやかましいというのだから困ります。三吾さんの兄さんは、弟に勉強させてやりたいと思ってキーキーをこらえていたそうですが、時には辛棒出来なくなって家をとび出したりしたそうです。三吾さんわるいわね。そんなにして貰ったのに。寿江子は段々しまった気持になって来ていて、今夕も御飯の仕度すっかり自分でしてくれる位になったが、音が果して私にこらえられるかどうか。
水曜日、徳さん行くでしょうかどうかしら。どんな返事が来るでしょう。私は出立がもっと先になっていて、もっとあとでいいと云ってくれることを切望して居るのですが。
あのひとが出発するときまったら、御せん別には、岩波のウィットフォーゲルの『支那経済学史』